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世界一周ツーリング日記  1995年6月〜1998年6月
60 オランダ 1996/8 オランダ

 

畑の中の線路をTGVがすっ飛ばして行く。雨はまったく止まず、もうパンツの中まで濡れている。
もうカッパの寿命だろうか。
やっと探した宿でシャワーを浴びようとしたらお湯は出なかった。早めに寝よう。

翌朝天気は悪いがなんとか雨は止んでいた。やれやれ。
出発の準備をしていると昨夜の宿で話をしたかわいいフランス人の女の子が声を掛けてきた。
「雨の中出発するの?」また小雨が降ってきた。
「この天気から逃げ出したいんでね」。雨はキライだ。
昨日お世話になったヤマハのバイク屋にタイヤが捨ててあったことを思い出し、お礼がてら訪ねてみた。
「昨日はありがとうございました」。
店番にはオジさんとオバさんと子供しかいなく、それを伝えるだけでも一苦労だった。
「タイヤが欲しいんですけど。新品じゃなく中古のやつ」。
オジさんはどこかに電話をかけて5分待てと言った。そうしたら昨日通訳してくれた息子がやってきて話を聞いてくれた。
「古いやつでいいの?好きなだけ持っていっていいよ」
「いや、後輪一本だけでいいんです」。
数十本の古タイヤの中からまだ3分山ほど残っているミシュランのチューブレスタイヤを貰った。
自分でやりますと言ったがタイヤ交換まで機械でパッパッとやってもらった。田舎の人はすごく親切だ。
とにかくメルシーメルシーと何度も言って店を出た。言葉がまったく解らない日本人があーだこーだ言って古タイヤを貰いに来るなんていい迷惑だったろうに。その情景を外から見てみると自分がすごく厚かましい奴に思えておかしかった。
旅が長くなるほど自分が厚かましくなっていくのが分かる。
神経がズ太くなっていくのが分かる。
ダメもとでやってみることが多くなる。

真っ平らな道をずーっと走り、夕方にオランダのアムステルダムに着いた。
運河が発達しているらしく舟がたくさん繋いである。中央駅も運河で囲まれていた。
しかし道が複雑で迷路みたいになっていて自分がどこにいるか全く分からない。通りの名前が書いてある看板はすごく小さく、また無かったりする。やっとのことで辿り着いたYHは満員だった。

スクーターに2人乗りした少年が後から声を掛けてきた。
「マリワナ、コカイン、LSD。ドラッグやらない?」
「ドラッグはやらない!」
「そうか。どこから来たの?」
「日本からだ」
「日本!日本か!わーい!」と言って去っていった。なんだあれは。
オランダはドラッグは違法ではないのだ。

安宿を数軒あたってみるがどこも駐車場が無かった。また雨が降ってきた。
もうどれくらいこの付近を走っただろうか。いい加減疲れてきた。
午後7時に町に着いてもう4時間!も宿探ししている。一体何のためにバイクで旅行しているのだろうか。
一日の1/3は宿探しに振り回されている。宿探しの旅なんだろうか。高級ホテルに泊まれば話は簡単だが。
1階がバーで2階が安宿という所が多い。カッパ姿のままズカズカとバーの中に入っていく。
店内はガンガンと音楽がかかり、マリファナの煙で白く濁っている。こんなのばっかりだ。もう疲れた。
バイクは路上駐車になるがその内の一軒に決めた。荷物を持ってバーの中を横切り2階の部屋に行くと、2段ベッドが10ぐらい並んだ大きな部屋だった。ここにもマリファナの匂いがする。部屋のドアにはドラッグのやり過ぎに注意と書かれてあった。なんて所だ。
大通りから少し入った場所の安宿だったがそこが一番の繁華街だった。ああ、腹減った。
安食堂で遅い夕食を食べると少し落ち着いた。汚いドブ川2本分の通りが賑やかで、夜遅いにも関わらずたくさんの観光客がいた。川に面した建物にガラスのショーウィンドーがあり、その中に下着姿の女性が座っている。これが飾り窓か。窓の奥にはオバさんが多いが中には若くてきれいな女性もいる。そういう所は人だかりがしているから分かりやすい。
「いくら?」「一回だけよ」なんていうのが聞こえる。「先越されたー!」と悔しがっている人もいる。
通りにはドラッグの売人がうじゃうじゃいる。なんて町だ。酒とセックスとドラッグなんてこの世の果てみたいじゃないか。だめだ、こんなポルノ雑誌の世界そのままのような町は好きになれない。
安宿に戻るとまたマリファナの匂いだ。少年らがマリファナ吸いつつうるさくしゃべっている。注意してもエヘラエヘラしているだけだ。
もう朝になったらすぐ出よう。

 

 

 


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