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世界一周ツーリング日記  1995年6月〜1998年6月
58 ロンドン 1996/8 イギリス

 

今日は朝から雨が降っていた。
こんな天気じゃ外に出る気もしないのでYHでアフリカのガイドブックを広げてルートを考える。
やはりいくつかの国の国境は危険なために閉鎖されているので行ける所は限られていた。
観光するために外出するわけでもなく、朝からずーっとガイドブックと睨めっこしていたのでYHで働いている女性が話しかけてきた。
「あなたは外出しないの?」
「この雨じゃあね。それよりこっちの方が大事なんだ」
彼女はグリーンピースの団体で働いていたことがあり、彼女も世界を転々としているらしかった。
日本にも7ヶ月いたことがあるといった。
「あなたは他の人みたいな旅行者じゃなくて、旅人ね」
旅人か。なんかうれしい。

ロンドンを出発して西へ向かう。天気は相変わらず悪く、雨が降ったり、止んだりしている。
鉛色の空の下にひたすら平らな牧場や畑が広がっていた。
退屈だと思いつつ走っていると山が現れた。イギリスにも山があったんだ。小雨の中ハイキングしている人達も見える。午後遅く運良くYHが見つかったので泊まることにする。
食事のために外出する気も起きないのでYHで食事を注文した。広い食堂には僕ともう一人しかいなかった。
スープ、サラダ、ソーセージのトマトソースかけにベイクドポテト、デザートにはリンゴのフライのカスタードクリームかけ、そしてコーヒー。フルコースだったとは。レストランで食べている気分だ。
考えてみればヨーロッパに来てからレストランに入ったことは無かった。ちゃんと食事したのがよっぽどうれしかったのだろう。日記に細かく記していたのがおかしい。

まだイギリスの南を少ししか走っていないが、雨が多く、また寒いのでロンドンに戻ることにする。
しかしロンドンの手前で日が暮れてしまい小さな町で宿探しをする羽目になった。
B&Bと看板が出ているバーがあった。カッパのまま中に入ると「なんだお前。スキーでもやるのか」と酔っ払いが絡んできた。無視して店の主人に「部屋がありますか」と聞くと「無い」と一言だけ返ってきた。
4軒目にやっと部屋にありつくことができた。
朝食の時宿の主人にイギリスの天気のことを尋ねると「すごくコロコロと変わりやすいんだ」と返ってきた。
「この前オーストラリア人が泊まった時、イギリスは緑ばかりなので驚いていたよ。オーストラリアは茶色ばっかりだからね」と自慢話のように言った。
イギリスは本当に緑ばっかりで土色をしている部分がない。平地、丘、すべて畑になっていて、そのどれもがまるで公園の様に美しく刈り取られている。確かに美しいがこう雨が多いとバイク乗りには・・・・・。

イギリス最後の日はいい天気だった。フェリー乗り場には昼頃着いたが午後2時の便になってしまった。
30分おきに船は出ている筈だけど?と思ったらフェリー会社の従業員がぞろぞろと建物から出て行った。そうか、昼休みか。

船に乗り込んだと思ったらすぐに船は出発した。港が、ドーバーの白い断崖が、イギリスが遠ざかっていく。
天気が悪くて、寒い寒いイギリスだった。

 

 


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