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世界一周ツーリング日記  1995年6月〜1998年6月
42 アルゼンチン 1996/3 アルゼンチン

 

8時半に出発。国境の建物の中は暖房が入っていた。生憎週末に国境通過なので通過の度に1000ペソ手数料を取られる。
アルゼンチン側はすんなり通過できた。昼前にリオグランデという大きな町に着いた。この町で昼飯を食べようとレストランを探していたら交差点で地元の若者が寄ってきた。
「どこから来たんですか?」
日本からというと目を丸くして驚いた。
「レストランを探しているんだけどどこかいい所知らない?」
「3つ目の角を右に行くとあるけど、良かったらうちへ来ませんか?」
「??」
最初言っている意味が解らなかったがどうやら家に招待してくれるらしい。喜んでうける。
目の前の大きな家が彼の家だった。彼はカルロスといい、バイク好きな学生だった。彼のKLR650は大事にされているらしくピカピカだった。彼はそのバイクでレストランに突っ込んだことがあり、その時の新聞記事を誇らしげに見せてくれた。
ガレージにある石窯!で彼の父親がバーベキューの準備をしていたので挨拶をする。2人ともバイクが大好きらしく自分のバイクを興味津々に眺めている。
父親は石油関係の仕事をしているらしいが社宅というその家は3階まであった。招待されたからには自分が黙っている訳にはいかない。ありったけのネタと言葉を使って今までの旅の話をする。幸い面白がって聞いてくれたが疲れた。
すごくおいしいチキンと子羊の炭火焼きをいただく。食後に果実酒をいただくと味も香りも梅酒そのままだったので驚いた。

午後3時、彼らに礼を言って出発する。旅はいろんなことがある。
町を出るとまた強風が吹いていた。追い風のとき時速80Kmで無風状態になる。秒速20m以上だ。
内陸へ向かうと風景に変化が現れ、美しい森と山と湖があった。天気は良いが寒い。美しい峠を越えると港が見えた。どうやらウスアイアに着いたようだ。
南米大陸最南端の町は予想以上に大きく、数万人は住んでいそうだ。町にはなぜかCRやXRのレーサーがバリバリいわせながら走り回っている。4輪バギーの女の子がドリフトさせながら交差点を曲がっていく。不思議な所だ。

宿に荷物を置いて身軽になって走り出す。バイクでウスアイアの自然の中を走るとどこでも美しかった。最果ての町というとなんか暗いイメージがあったけど、美しい自然に囲まれた南米のアラスカという表現がぴったりだ。
ウスアイアから東にある村へ向かってみる。素晴らしい自然のなかの砂利道を走るとオフロードバイクに乗っていて良かったとつくづく思う。牧場に生えている木は強い西風の為に東へ大きくなびいている。というより曲がって育っている。

190Km離れたその村には何も無かった。道もそれ以上無かった。
目の前にビーグル水道が見える。近くに沿岸警備隊みたいな建物があったので風を避けて建物のかげで持ってきた昼食を食べる。曇り空で寒い。
人が呼ぶ気配がした。見るとその建物の住人がこっちおいでと呼んでいた。中には男が3人いた。
「ここでは何をやっているんですか?」
「海の警察みたいなことをやっている」
「退屈しているんじゃないですか?」
忙しかったら自分のような闖入者を相手にしたりしないだろう。
「そうだね。ここには何も無いし、女もいないし」。
自分が日本人だと判ると一人が部屋の奥からケバケバしい表紙の日本のエロ本を持ってきた。
「日本の女はキレイだな。日本の船員が持ってきたんだ」
次にアルゼンチンのエロ本も持ってきた。ノーカットのその本を「あっ、すげー」といいつつ見ると彼らも喜んだ。
3人ともかなり溜まっているらしく女の話で盛り上がる。
「どうだ?日本の女はどうだ?」
「日本女性の肌は、それはもう滑らかですよ」というと、3人とも遠くを見つめ、うーんと唸った。
帰りに写真を撮りたいというとボロボロの服を着ていた2人はわざわざ着替えてきた。楽しい人達だった。男はみんな同じだな。

 


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