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世界一周ツーリング日記  1995年6月〜1998年6月
36 ボリビア 1996/1 ボリビア

 

広い平野の中を走り、小さな峠を越すと青くて大きなチチカカ湖が見えた。
ここは標高3800m、湖に浮かぶ葦の浮島が有名な湖だ。

湖畔から観光ボートで浮島に渡るといきなりみやげ物やが迎えてくれた。「オニーサン、コレ買ッテ」。
ふわふわした地面のウロス島は50mぐらいの大きさしかなかった。ここにみんな住んでいるのか?なぜか若者はバレーボールを一生懸命やっている。まわりには葦で作ったボートがいくつも繋がれている。

子供が4mくらいのやぐらの上から柔らかい葦の地面に飛び降りる遊びをしていた。高いところからこの島を見てみたかったので
「この上に登っていいかい?」と少女に聞いてみると
「ダメ」と返ってきた。
「どうしてダメなの?」と聞くと彼女は当然のように言った。
「お金払えばいいよ」。
ガーン。無邪気に遊んでいると思ったらこんな子供まで毒されていた。確かにチチカカ湖は有名な観光地だが、観光ズレした醜い島でかなりがっくりきてしまった。
夜、ヒョウ混じりの激しい雨が降った。

翌日ボリビアへ向かう。高い山は昨夜の天気で真っ白になっていた。出国前に昼食食べてガソリンを入れてペルーのお金を使い切る。ペルーの出国は簡単だった。次にボリビア側の国境に行く。

まずバイクの受付から始まった。台帳に記入されると役人に金を請求された。
「いくらですか?領収書くださいね」
というと彼は困った顔をして
「いや、ジュース代だけでいいんだ」
これは明らかなワイロだった。
「領収書がなければ払いません。どこの国境でもそうでした」
「じゃあ領収書書くからいくらか払ってくれ」
「じゃあいくらですか?」
「いくらでもいいんだ」
しばらく押し問答が続き他の役人が集まってきた。
「なんだなんだ、こいつ金払わないのか?」
「領収書がなければ払えません」
「よし、じゃあ書くから5ドル払え」
ジュースが5ドルもするか!
「なんでさっきと金額が違うんですか?」
まったく先に進まない。すると彼らの上司らしき男が出てきた。やれやれこれで解放されると思いきや彼は
「お前、スペイン語わかるか?これは維持費なんだ。書類作ったり、掃除したりするのにも金がかかるんだよ!ここはボリビアなんだ!払っていけ!」
役人は上から下まで堕落していた。それでも払わずにいると
「もういい、出て行け!」とやっと解放された。勝った…。
しかしまだ人間の入国が残っている。若い役人だった。
「あんたは何人だ?」
「日本人です」
「日本人は入国するのにビザが必要なんだ」と彼はもっともらしくいった。しかしこれは大うそだった。
「電話してくださいよ。私は日本人はビザは必要ないということを知っていますから」というと彼はそれ以上何も言わなかった。
パスポートにポンとハンコをもらって済んだ。。
最後に「なあ、ジュースおごってくれないか」と聞いてきたので「いやだ」というと、また長引くかなと思ったが彼はそれで引き下がってくれた。
これで入国手続きは済んだとほっとすると、先方に車両をチェックするところがあった。台帳に書き込んでもらっていると地元のバスがやってきて、車掌が台帳の上にポンと4ボリビアーノ置いて自分の車のナンバープレートの番号を言い放って去っていった。とても手馴れた様子で鮮やかだった。役人はその金を左手で隠しながら台帳に記入した。バイクの記入が終わると「なあ、チップくれないか?」といってきたが聞こえないふりをして「ありがとう」といって建物を出る。まったくこの国の役人ときたら!
さあ、ボリビアに入ったぞ!

道はいきなりボコボコのグチャグチャになった。これが国道か?雨も降ってきた。大きな水溜りや川が現れる度にドキッとする。もう水没はこりごりだ。しかしなんてひどい道だ。トラックがいたる所でぬかるみにはまってスタックしている。そのトラックを避けようとして反対のトラックもスタックしているのでトラックやバスの大渋滞を起こしている。バイクはその隙間を通り抜けることができるのが幸いだ。

いい加減悪路にうんざりした頃道は舗装路になりそして眼下に首都ラパスの町が現れた。巨大な盆地の上の方までびっしりと茶色の家々がへばりついている。巨大なすり鉢の中に滑り落ちていくように町の中心を目指すと一気に車が増えた。この町は貧乏人は空気が薄い盆地の上部に住み、金持ちほど標高が低くて空気が濃い町の中心に住んでいるそうだ。その中心部でもちょっと坂道を登るだけですぐ息が切れてしまうが。

翌日町歩きをしていると偶然グアテマラで別れた野呂さんとクスコで別れたばかりの佐野さんを見つけた。モトラ50であの道はさぞや大変だったことだろう。しかも僕がモメて国境を通過したすぐ後に国境超えをしたらしく、役人にひどくいじめられたと言った。

日本人宿で日記を書いていると一人の女性があなたはアメリカに行ったことがありませんかと話しかけてきた。しかも87年と時期まで指定してきた。確かに87年にオートバイでアメリカを旅行したが、なぜこの人はそれを知っているのか?と気持ち悪くなった。しかしよく話を聞くとコロラド州のデンバーで会った人だった。バイクで二人乗りまでしていたのにさっぱりわからなかった。まさかこんなところで再会するとは!だから旅はおもしろい。彼女は今回は婚約者と旅行をしていた。

都市に着くと結構やることが多い。バイクの整備や日本への郵便物を出したり旅の情報を集めたりしているとあっという間に数日が過ぎてしまう。当然町歩きもしなくては。夜は夜で他の日本人旅行者と延々とおしゃべりで夜更かしをしてしまう。みんな南米を旅行しているぐらいだからかなり個性があっておもしろい。
日付が変わって2月2日になった。みんなからおめでとうと言われた。
今日36歳になった。
今日ぐらいは贅沢していいだろうと昼食はフランス料理店に入った。ちゃんとコース料理だったが味はフランス料理っぽいボリビア料理だった。約350円。安い。味も安っぽかった。
 


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