ホンデュラスの首都テグシガルパには2泊して、次はニカラグアに向かう。
快調に山道を走るとニカラグアとの国境に着いた。
窓口で出国のスタンプをもらおうとすると小さな窓の奥から20レンピーラ(200円)だといってきた。出国に合わせてお金が残らないように使ってきたのでその20レンピーラがない。
「そんなに持ってません」
「じゃあどれだけ持っているんだ?」
「10レンピーラとちょっと」といって財布をひっくり返してありったけの小銭を渡す。
「それでいいよ」と係官はいってくれた。
まけてくれた?またボラれたんじゃないのか?まあ、とりあえず人間の出国は済んだ。
バイクの出国はスタンプを5個集めてまわって終了した。
次はニカラグアへの入国だ。50m先に小さな小屋があり、道は鎖で通せんぼしてあった。
人間の入国はツーリストカードを買うだけで済んだ。バイクの入国はまたまた書類を集めてまわり、役人から「荷物のチェックだ」と荷物を開けて調べられ、やっと終わったと思ったら最後にスタンプが一つ抜けているのを指摘され、あげくに昼休み。またかい。
朝から何も食べていないので腹が減った。鎖の向こう側で食堂がおいでおいでしている。といってもテーブルは置いてなかった。鎖をまたぎ、不法入国して(笑)食堂で
1ドルで肉の煮込みを食う。
1時になって窓口が開き、窓口にいたガメツそうなおばちゃんに書類を突き出した。
「手数料が20ドルかかります」彼女は冷たく言い放った。
20ドル!高い、高いよ。
「みんな20ドルづつ払うことになっているの」。この出費は心の準備がなかったのでかなり痛い。
「じ、じゃあ領収書ください」と無駄だとわかっているがせめてもの抵抗をする。
「も、もちろん」と彼女は言って書類を書いてくれた。それをゆっくりと一枚づつしっかりと渡してもらい、最後の領収書のときにはそのガメツそうなおばさん役人とバチッと目が合い、まるで麻薬かなんかの取引のように20ドル札と領収書とを右手と左手で同時に交換した。スタンプ1個もらうのに20ドルとは。さあこれで全て終わった。
ニカラグアに入ったぞ!
普通国境はガイドや両替屋や物乞いがうじゃうじゃいて喧騒甚だしいがニカラグア側の国境は閑散としていた。道路はボコボコ穴がたくさんあいている。走る車も旧ソ連製が多くなった。バイクはMZが多い。これは歴史の名残だ。
日が落ちる頃やっと首都マナグアに着いた。宿探しをせねばと中心街付近を走っていると町一番の高級ホテルの前に売春婦たちがたむろしていて、通り過ぎる車にも盛んに誘いをかけているのが見えた。
バスターミナル付近の安宿に泊まる。
宿で今日の出費のチェックをするとあの領収書には10ドルと書かれてあった。やっぱりボラれた!くやしい!
昨日両替する暇もなく走ってきたので翌日払うからということで泊めてもらったが、宿の女主人が早く金を払えとうるさいので朝から両替に行く。両替を済ませ、宿に戻ったのを発見するなり「あんた銀行に行ってきたのね」といってきた。
もうこんな強欲ばばあの宿になんて泊まりたくないので即チェックアウトして他の宿に移る。引越しを終わるともう昼前だ。
昼食を食べに町に出る。歩いていると市場にでた。かなり大きいらしく店が道の両側にびっしりと並んでいる。行けども行けども店は尽きない。迷子になりそうなのであまり深入りはしないでおこう。店は多いが売込みはそんなに激しくないので落ち着いて歩ける。
国境もそうだったが町もなんか元気がない。市場なんて普通エネルギーの塊みたいなはずなのだが。旧ソ連支配の影響なんだろうか。通りから一歩中に入ると世界はいっそう貧しくなった。トタンや木で張り合わせただけの簡単なバラック小屋が並んでいる。水と電気はあるみたいだが3mX3mぐらいの土間の奥にベッドが見える。小屋の外に洗い場とかまどがある。暑いのでみんな外でハンモックに揺られている。
やはり貧しい国なのか。その形が半分しか残っていない廃墟のビルの中に洗濯物が干されているのが見える。
マナグアに面したニカラグア湖に出た。暑いので移動式ハンバーガー屋でコーラを飲む。
「いつ内戦が終わったんですか?」
「1990年だ。その時に政治も変わった。今じゃみんな仕事が無くて困っているよ。」とおやじは言った。
「80年代に大きな地震があったんだ。今でも町のあちこちに残骸が残っているよ。ほら、そこの教会もそうだ」
建物はいたるところにひびが入り、金網で立ち入り禁止にしてあった。その大地震の話は日本でもニュースでやっていた覚えがある。
湖面を見ると水は汚かった。昔は泳げたそうだが。ん?その大きな湖の対岸に火山の噴煙が見える。
夕方ホテルに置いてあった新聞にその火山のことが書いてあった。ほんの1,2日前に噴火したらしい。真っ赤な溶岩を吹き上げる火山の写真がカラーで載っていた。
これはすごいぞ!しかもそんなに遠くないじゃないか!
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