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世界一周ツーリング日記  1995年6月〜1998年6月
21 ベリーズ 1995/8 ベリーズ

メキシコのユカタン半島の下にある、ベリーズという国との国境へ向かう。
日本人が入国するにはビザが必要だが、国境で24時間の素通り通過ビザがもらえるらしいので試してみる。
メキシコの出国はフリーパスだった。小さな橋を渡るとそこがベリーズ側の国境だ。
イミグレーション(入国審査)の建物に入る。
係官に「ビザなしで入国できますか?ここで24時間のトランジットビザがもらえると聞いたんですが」と聞いてみる。
「日本人ですか、ビザは必要ですよ。ちょっと後がつかえているから横によけておいて」
とポッチャリとした人が良さそうな黒人の係官が答えてくれた。
彼は10人ぐらいの団体をひょいひょいと片付けていく。彼らは英語をしゃべっているがかなり訛っているのでわかりにくい。
「隣の建物に上司がいるからそこで聞いてみて。パスポートはここに置いていくように」
その建物には目つきが悪い黒人が二人座っていて、丁度昼食を食べている最中だった。
「ビザなしで入れますか?」下を向いて食べていた二人は、ジロリとサングラスの上からこちらを見上げる。
「だめだ、ビザがなきゃ入れないよ」
「ここでトランジットビザが・・・」
「だめだだめだ。メキシコの町まで戻ってビザを取ってきなさい」。
粘ったがだめだった。
「ビザがいるんだよ。1時間入るだけでも2時間だけでも。メシ食うだけでもね」
自分は彼らの昼食の邪魔をしたようだ。
諦めてさっきの係官のところに戻ると「彼らが必要というのなら仕方がない。力になれなくて残念だったね」と慰めてくれた。
その日はメキシコ側の町に宿を取り、明日出直すことにする。

翌日朝からベリーズ大使館へ行きビザの申請をする。手数料が25ドルかかった。
あいにく細かいのが2ドル足りなかったので20ドル札2枚渡すと彼らもお釣りを持っていなかった。冗談で23ドルにまけてと言ったら本当にまけてくれた。のどかだ。再びベリーズ国境へ行く。
イミグレーションには昨日の目つきの悪い黒人が座っていた。
「ビザ取ってきたのか。そうか」
入国カードを書いていると次々とやってくる他の観光客にはトランジットビザを渡しているではないか。差別しやがって。
バイクはカルネを使って入国する。やっと手続きが終わった。
ベリーズに入ったぞ!

いい天気になった。真っ平らなベリーズの道を走る。その平らさは平野といおうか、まるで湿地帯だ。
浸水が多いのか道路脇には高床式の家ばかりが建っている。
ジャングルの中の道を3時間程走るとベリーズシティーに着いた。町には物が溢れていた。日本車、アメ車も走っている。
メキシコの隅にしがみついているような小さい国なのにどうしてこんなに豊かなんだ?ジャングルの中に牧場があっただけじゃないか。
汚く濁ったカリブ海に面した町はごちゃごちゃしていて、早速道に迷ってしまった。住民のほとんどは黒人だ。
ジュース売りのおっちゃんに道を尋ねても彼の英語はまったく分からない。客だったオバちゃんの英語の方が分かりやすかった。
海を離れ、内陸へグアテマラへ向かう。遠くに久しぶりに山が見える。標高2000メートルを越すメキシコシティーからユカタン半島に下りるともう山はなくなっていたのだ。
そして夕方5時にグアテマラとの国境に着いた。たった5時間のベリーズ滞在だったな(高くついた)。
出国審査には今度は愛想もかけらもない太った黒人女性がいた。彼女は露骨にいやそうな顔をして仕事をしている。ベリーズの役人はこんなんばっかりだ。
さっさと出国を済ませて今度はグアテマラ側の国境に行くと表記が英語からスペイン語に変わった。
人間の入国はあっさりと90日間の許可がおりた。バイクの入国はちょっと面倒で、通行許可書をタイプしてもらい、バイクにステッカーを貼ってもらう。
「いくらですか?」
「120ケツァルです。」
「120!高い!いくらだって?」
「120ケツァルです」
120ケツァルといえば20ドル以上する。ほんとにその値段なんだろうか。さっき両替した残りが100ケツァルちょっとしかない。
見せてごらんとその役人は言って、彼の前にお金を広げた自分の手の中から、100ケツァル札を抜き取った。これでいいらしい。
えっ、まけてくれたの?怪しい!(その後ホテルで領収書を見たら60ケツァル(10ドル)と書かれてあった。ボラれた!くやしい!)
グアテマラに入ったぞ!

グアテマラに入るとまったくの未舗装路だった。石がごろごろしていて走りにくい上に、また夜間走行になってしまった。
何もない真っ暗な峠道を2時間程走るとサンベニートの町に着いた。もう今日は走りたくない。やっと探した宿は停電していた。
シャワーも水がチロチロと出るだけだった。まるで掘っ立て小屋のようなホテルだ。
もう寝よう。



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