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世界一周ツーリング日記  1995年6月〜1998年6月
20 メキシコシティー3 1995/8 メキシコ
この宿はかなり居心地がいいのでズルズルと長居をしてしまう。もう10日以上過ごしてしまった。そろそろライダーに戻らなくては。
メキシコシティ周辺の観光をしようと、同じくライダーの神田さんとバイクに乗って郊外にあるTULAの遺跡へ向かう。
彼は遺跡が趣味でヤマハのXT600をロサンゼルスで買ってここまでやってきていた。北に65Kmと近いので楽勝と思ったら一般道を迷いに迷ってなんと5時間近くかかってしまった。しかも立ちゴケのオマケつき。やっと着いた遺跡の入り口はもう閉まっていて門番が一人いるだけだった。
「もう閉まったんですか?」
「そう、終わりだ」
「遠路はるばるやってきたんですよ。何とか入れてくださいよ、アミーゴ、アミーゴ」
と粘ったらなんとか入れてもらえた。
メキシコ人には愛情の表現アミーゴが効くみたいだ。がらんとした遺跡内を駆け足で見て歩く。
高台の上に4〜5mほどの高さの巨人の像が4本立っていた。紀元1000年頃らしいがデザインが結構細かい。遺跡マニアの神田さんはじっと食い入るように見ている。

満足してメキシコシティへ戻る。暗くなってきたし、立ちゴケしたとき足と肩を痛めたので有料道路を使おうかと思ったがやっぱり値段表を見て気が変わった。するとやっぱりまた道に迷ってしまった。道を尋ねながらなんとか帰り着いた。
寒い。体が痛い。温水シャワーをすぐに浴びる。だんだんと気分が悪くなってきたのでシャワーから出てそのままベッドに倒れこんでしまった。午前1時頃目が覚めた。肩が痛くて上にあがらない。少し元気になったので遅い夕食を食べてまた寝る。朝5頃時また目が覚めた。頭が痛いので頭痛薬を飲んでまた寝る。風邪でも引いたんだろうか。またはメキシコシティーの排気ガスにやられたか。
朝9時に起きる。肩の痛みは引いていた。これなら出発できそうだ。
昼前にようやく出発する。

東へ、カリブ海へ向かって走る。
夕方まで走るが手頃な宿が見つからない。暗い霧がかかった峠道を先行車のテールランプを頼りに走る。峠を越した小さな村で宿を見つける。まだ気分が良くない。食堂で食べた煮込み料理(ギサード)はまるでタバコをチョコレートで煮たような味だったので全然食べれなかった。食堂のオバちゃんが心配して「口に合わなかったのならなんか他の作りましょうか」といってくれたが悪いので「少し具合が悪いんですよ」と言っておく。なんかさっぱりしたのが食いたかったなあ。

村を出てしばらく走ると急に暑くなってきた。一気に20℃ぐらい上がったんじゃないのかと思うくらいだ。カリブ海が近いのか。
昼頃に大都会のベラクルスに着いた。泊まっていくにはまだ日が高いので先に進むことにする。
東へ、ユカタン半島へ向かう。
だんだんと日が暮れてきたがまだ手頃な宿は見つからない。また夜間走行になってしまった。昨日と一緒じゃないか。
街灯もない田舎道を走り左カーブを曲がっていると、バイクのヘッドライトにいきなり犬の姿が浮かんだ。
「あっ、こっちに来るんじゃない!」
「あっ、あっ!」
ドウン。ギャウン!

生まれて初めて犬を轢いてしまった。完全に前後輪で乗り越えてしまったが、その犬は鳴きながら草むらに逃げていったので大丈夫だろう。あぁ、コケなくて良かった。
やはり夜間走行は危ない。

ユカタン半島は今、雨季らしく雨ばっかり降る。しかも暑いのですごく蒸れてしまう。
雨上がりのカンペチェの町を走っているとき斜め横切りの踏み切りを渡ろうとしてツィーッと後輪が滑り、ステーンと転んでしまった。初転倒だ。幸いスピードは出ていなかったので人間もバイクも無傷で済んだ。
ユカタン半島には古代文明のピラミッドなどの遺跡がたくさんあるが蒸し暑さと蚊にめげて2つのピラミッドしか見なかった。
いや、それよりも雨ばっかりのユカタン半島から早く逃げ出したかった。
もう、観光するのにも飽きてきた。

また夜間走行になった。真っ暗な林の中の道を通ると小さい光がスーッと走っていった。
ホタルだった。次々と光が現れる。その林には無数のホタルがまるでクリスマスの電飾のように無数に飛び交っていた。幻想的な景色だ。

カンクン。メキシコのリゾート地として有名でなんか楽しいことが起こりそうな響きがあるが、あまりの雨の多さと、高くなる物価を思うとあっさりと行かないことに決定できた。
楽しいことは次の国で待っている。
ベリーズへ向かうぞ。


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