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世界一周ツーリング日記  1995年6月〜1998年6月
18 メキシコシティー 1995/7 メキシコ
盗難にあったホテルになんてもう泊まりたくないので出発することにする。
昨日の盗難はおそらくルームメイドだと思うので「バッキャロー!もう警察に行ってきたからな。覚悟しとけよ、盗人め!」と置手紙をしてホテルを出る。
リスが見送りに来てくれた。いろいろとお世話になった。礼を言って出発をする。
町外れでガソリンを満タンにする。メキシコに入ってからはかなりスピードを落として走れるのですごく燃費がいい。36Km/Lなり。

南へ走る。ずーっと平地が続く。周りはとうもろこし畑や牧場があるだけで、景色に変化がなくなった。所々で雨が降っているがそれ以外は青空だ。
その雨雲の一つが前方に待ち構えていた。降り出す前にカッパを着ておく。
するとピカッと雷が光った!と同時に土砂降りになった。
まわりは見渡す限りの平地なのでオートバイの自分が一番背が高いではないか。雨はいいけど雷はよしてくれ。メキシコで落雷で死にたくは無い。
いいことを思いついた。でかいトラックにぴったりついて走ろう。そうすればトラックが一番背が高い。
大型トラックがやって来たのでやり過ごしてすぐに後ろにつける。視界はトラックの後ろ姿で塞がれていてちょっと怖いが牧場の一本道なので急ブレーキということはあるまい。しかしトラックの後ろは風がぐるんぐるんと巻き込み、大きなタイヤが巻き上げる水煙でとても快適とはいえない。しかも追ったトラックはやたら速くてだんだん離されてしまう。ついていくのに大変だ。

メキシコシティーへ向かう道には快適な有料道路があるが、あまりにも料金が高いので避けて通る。
もうすぐ日が暮れる。そろそろ今日寝るところを探さねば。メキシコシティまであと550Km。このまま走れない距離でもない。
しかし前方で雷が光ったので速攻でその町に引き返して宿を探す。
水溜りだらけの町の中心部に無事ホテルを見つけることができた。しかし入り口にはすごい行列ができている。みんなこのホテルの客なんだろうかと思ったら、そこは長距離電話できるホテルだった。それでみんな並んでいるのか。よく見るとホテルの名前は「ホテル長距離電話」と書いてあった。

翌日、朝めしも食わずにメキシコシティに向けて走る。国道はだんだんとトラックが多くなってきた。腹が減ってきたので昼前に小さい町に入るとすぐに定食屋が目に入った。
コミーダコリーダ(日替わり定食)を注文すると、今まで食ってきたのがうそみたいな豪華な定食だった。お腹が充分に満たされて、ゆっくりコーヒーでも飲みたくなりコーヒーを注文すると、お湯が入ったカップとネスカフェが当然のように出てきた・・・・。
メキシコはこんなもんだな。

日本並みに高い有料道路を避けて一般道をひた走る。
大きな峠を越すと、眼下に巨大なメキシコシティが見えた。大都会だ!人口2000万人!
盆地のメキシコシティは汚い空気の出口がないので霞んでいる。その淀んだ空気の海に沈降していくと道もすごく混雑してきた。
地図を頼りに中心部に近い革命記念塔に向かう。だんだん日が傾いてきた。メキシコシティは標高2100mあるので寒い!

そしてペンションアミーゴに着いた。ここには看板とかはなく、茶色いガレージの扉に日の丸が描かれているだけだ。
呼び鈴を押すと扉の向こうから「はーい」と日本語が返ってきた。
幸いベッドは空いていた。荷物を部屋に運び込むと、はぁ〜やっと一安心。
ここは日本人限定の安宿で、中南米を旅行する人、してきた人達の基地となっている。アメリカ、ヨーロッパではなく、中南米を旅行したいという人たちは個性的な人が多い。
この時はライダーが2人いて、すでにかなりの期間滞在していた。

近くのタコス屋台で夕食を食べる。タコス5個で3ペソ(50円)!町はゴチャゴチャとし、歩道には露店があふれて歩きづらい。
歩道の信号待ちをしていると停まった車の前に男が出て行き、いきなり火を吹いた!瞬間辺りは明るくなる。おお、これが名物の火吹き男か!正確にはオイル缶に入った灯油?を口に含んでライターで火をつけるのだが生で見ると迫力がある。
彼は運転手にチップをせがんだが運転手は目を合わせようとしない。こうやって彼は生活費を稼いでいるんだろう。火吹き男の口から下は滴る灯油でに真っ黒に汚れていた。というかもう全身が煤けていた。

翌日、アメリカンエクスプレスのオフィスへ行きトラベラーズチェックの再発行をしてもらう。電話連絡しておいたのでスムースに受け取ることができた。
メキシコの独立記念日が近いので町中は電飾で飾られていて夜になるととてもきれいだ。

メキシコシティには地下鉄が走っていて結構便利に使える。夕方に地下鉄に乗ろうとしたらすごい混雑で、まるで日本並みの詰め込みぐあいだ。なんとか乗り込めたが、次の駅で出る人達に一緒に押し出された。
ここでハッといやな予感がしてズボンの尻ポケットに手をやると、無かった!
やられた!見事に財布をスラれてしまった。幸い大金は入ってなかった。しかし満員電車の中、みんな身動き一つできなかったはずなのに一体どうやって盗っていったのだろうか。
しかもチャックつきのポケットだったのに。
油断は禁物だ。

 帰りは地下鉄を使わなかった、いや使いたくなかった。


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