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世界一周ツーリング日記  1995年6月〜1998年6月
6 アラスカハイウェイ 1995/7 カナダ

ジャスパーを一歩出るとあの山と森の美しい景色はもう無くなってしまった。
もう後は北へ、アラスカへ向かうだけだ。
今日は朝から天気が悪く、とうとう雨が降ってきた。
山は姿を消し、なだらかな丘が続く。何も無く、ただ緑が広がっているだけだ。
地図の上には数十Kmおきに町の名前が書いてあるので、ちょっと休憩していこうとワクワクしながら走っていると、実際はガソリンスタンドとレストランとコンビニとモーテルが一緒になった一軒だけの町?村?が現れるだけで、期待外れに終わる。
いい加減雨の中走り続けて疲れたので、ようやく21時頃キャンプ場に泊まることにする。
運良く屋根のあるところにテントを張る事ができてホッとした。
雨で冷え切った体に、まずいけどうまいインスタントラーメンが染み入っていく。
夜中に目が覚めた。しかしもう明るくなり始めていたので時計をみると、まだ午前3時・・・・・。また寝る。
6時頃鳥のさえずりで目が覚めた。まるで誰かが口笛でも吹いているようだ。
雨はまだ降り続いていた。
またカッパを着て出発。
しばらく走ると「アラスカハイウェイまで80Km」という看板があった。
アラスカハイウェイ!アラスカ!アラスカが急に現実見を帯びてきた。
しばらくするとそれまでの一本道はある道路にぶつかった。それがアラスカハイウェイだった。

広々とした道路は緑の中を一直線に突き進んでいる。
この道を数千Km行くとアラスカなんだ・・・・・。

腹が減ってきて体も冷えてきたので街道沿いの小さなレストランに入る。
熱いコーヒーがうまい。
冷えた手をカップで暖めながらのんびりと日記を書いているとBMW1100GSに乗ったライダーがやって来た。
彼がヘルメットを脱ぐと白ヒゲが現れた。
「天気悪くて寒いですね。」と話しかけると「そうだね。」と言ってオジサンさんは自分がいるテーブルに座ってきた。
彼は南米のベネズエラに住んでいて、休暇でシアトルからアラスカまで行くと言った。
「休暇はどれくらいですか?」
「8週間ある。いつもは2〜3週間だけどこんなに長いのは初めてだよ。」
8週間と聞いて目を丸くしてしまった。
「僕は会社を辞めてきました。3年間で世界一周するために。」
今度はオジさんが目を丸くした。
彼は変わったヘアスタイルをしていた。短く刈っている髪がウルトラセブンのように凸凹していた。
良く見ると彼のヘルメットのショーエイRVFの内装の形につぶれていたのであった。
そういう自分も、伸びてきた髪がオデコにぺたんと張り付いてゲゲゲの鬼太郎状態だった。

そして彼は荷物を満載したBMWをアラスカへと走らせた。
4杯目のコーヒーを飲み干して、自分もまたアラスカへと走り出す。

やっと雨があがった。カッパを着て1300Km走っていた。



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