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世界一周ツーリング日記  1995年6月〜1998年6月
4 ようやく出発 1995/6 カナダ

朝から天気が良かった。ツーリングの出発にふさわしい。
パッキングを済ませ10時に出発する。結局なんだかんだと1ヶ月近くバンクーバーに居てしまった。
しかし!今日から、今から世界一周ツーリングの始まりだ!
バンクーバーのダウンタウンを通り抜け、北へ向かう。目指すはアラスカ!
海沿いの素晴らしい景色の中を走る。天気も良く、走っていて気持ちがいい。
大きな谷に沿って走ると、スキーで有名なウィスラーが現れた。しかし今は夏なので雪もなくパッとしない。
ガソリンを入れねばと思っていたがなんとなく町を通り過ぎてしまった。
まあ次で入れよう、なんたって28リットルのビッグタンクを付けてるから大丈夫!と思っていたら急にガス欠になり、止まってしまった。
ガソリンコックを予備に切り替え、エンジンをかけようとするがまったくかからない。
あれれ?と思いつつガソリンタンクの中をのぞいてみると、なんとガソリンは空っぽだった!さーっと血の気が引く。
ツ、ツーリング初日からガス欠か?
どうやら燃料コックが壊れていて、予備の分まで全部使ってしまったようだ。
まわりは森があるだけでガソリンスタンドらしきものは無かった。
チョークを引いたり、バイクを横倒しにしたりしてなんとかエンジンをかける。走るのと、エンジンをかけるのをくりかえしながらなんとか前に進んでいくと、運良く前方にガソリンスタンドが現れた。あー良かった。
出発前に確実に満タンにしとけば良かった。しかしまだ町が近い所でトラブルが発見出来たので幸運だった。もし前後数百キロ何もないところだったらと思うとゾッとする。ガソリンコックを修理するまでは早め早めに給油しよう。
ガソリンを満タンにしてほっと安心すると腹が減ってきたのでそこで昼飯にする。
ガソリンスタンドの芝生の上でパンを食べていると、KLR650に乗った青年がやって来た。彼もこれからアラスカに向かうらしかった。
オフロードバイク2台を見つけてGL1500に乗ったおじさんも話しに加わってきた。

山道ではあるが内陸はすごく気温が高く、あまりの暑さにジャケットを脱いでTシャツ一枚で走る。
険しくて狭い峠道を走っているといきなりヒヤッと、10℃は冷たい空気にぶつかった。
すぐ側には滝があった。
僅かな温度の違い、僅かな匂いの変化、そして風。
バイクは自然の変化を全身で感じることができる。
峠の展望台で休憩しているとキャンピングカーのおじいさんが話し掛けてきた。
第二次世界大戦後、北海道に3ヶ月いて、カナコという英語を教えていた日本人女性と知り合ったんだと、懐かしそうにいった。日本人の自分の姿を見て彼は50年前の事を思い出したのだろう。

夕暮れ近くカルムープスという町に着き、この町に泊まろうとしたが手頃な宿が見つからず宿探しが面倒くさくなったので、そのまま走り続けるとにした。
日は暮れてしまったがまだ空気は暖かかった。
夜11時前に国道沿いのマクドナルドで休憩する。もうこの時間から宿探しをする気にはならなかった。眠い、キツイ、退屈だ。気だるい時間が流れる。
ガソリンスタンドでガソリンを入れてそのままスタンドの片隅で日記を書く。しばらくすると眠くなってきたので人工芝の上で眠った。
30分程眠るとだいぶ楽になった。
また走りだし、今度は24時間営業のレストランで時間を潰す。他に客はいなかった。ふと8年前のアメリカツーリングを思い出した。あの時も適当な宿が見つからず一晩中走り、眠くなると24時間営業のレストランで休憩していた。あの時は結局1日で1600Km走ってしまったが。
やっと夜明け前に走り出す。
外はグッと冷えてきた。しばらくするとすごく眠くなってきて、運転していてフラフラするようになってきた。まぶたがすごく重たい。
いかん、このままでは危ない!道端の休憩所に飛び込み、寝袋を引っ張り出してそのまま寝る。バイクも荷物もそのままだ。
暑くなって目が覚めた。太陽は既に高く昇っていた。
レイクルイーズへ向かう。
森の中のハイウェイを走っていると、道路脇にキャンピングカーが止まっていた。その主は車から降りてビデオで森の方を撮っていた。
なんだと思いそっちの方を良く見ると、路肩に熊!が2頭いた。野生の熊だ。親子で草を食っていた。
記念すべき熊との出会いは、まるで北海道でキタキツネに会ったようなものだった。

何度も何度もバイクを停めて写真を撮りたくなる景色の中を、先に進めなくなるのでじっと堪えて走っていると、レイクルイーズに着いた。
雪を頂く美しい山々の麓に、これまた美しいエメラルドグリーンの湖があった。
どうしてこんなきれいな色がでるのだろう。みんなうっとりと湖を眺めている。カナダの観光写真やテレビCMなどでよく見ていたがやはり実物は美しかった。


レイクルイーズ

その日は近くの、森の中のYHに泊まる。モスキートクリークという名の通り、やたらと蚊が多かった。



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