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世界一周ツーリング日記  1995年6月〜1998年6月
3 書類は来たが・・・ 1995/6 カナダ

やっとのことで手に入ったバイクの書類には、受け取りの船会社の住所が書かれてなかった。もうとっくに着いているはずだがどこの船会社か分からなければ引き取りようもない。
今思えばいいかげんな話だが、発送を頼んだ日本の船会社もそれを知らなかった。
俺のバイクはどこにあるんだ?

とりあえず書類を持って、バンクーバーの港に行ってみる。
大きな港にはコンテナがたくさん積んであり、トラックやクレーンが忙しそうに動いていた。建物の中に入り、それっぽい事務所を探してみるがまったくわからない。こんなとこうろうろしてても仕方が無いのでえーいとばかりにひとつの事務所に飛び込む。

「バイクを受け取りにきたんですが、この辺にこの会社の事務所はありませんか?」
と、いいつつ一人で仕事をしていた男性に書類を見せた。正確には押し付けたと言った方が正しい。
いきなり知らない東洋人がやって来てこの書類をどうにかしてくれと突き出してきたので彼は面食らってたが、事情を理解しどこかへ電話をかけ始めた。そして「つながったよ」と電話をよこしてきた。
船会社がわかったの?しかし英語が良く分からない上に、ましてや電話でなんてわからんぞ。
電話のむこうは女性で、なんとかかんとか言っていたが、解ったのはバイクは港に到着していて、その港はなんと隣町にあるということだった。
しっかりとその住所を聞いて、男性に礼を言って事務所を出た。

翌日朝から地図を頼りにバスに乗り、バス停からかなり歩いてなんとかその事務所に辿り着くことができた。さあ、ここにバイクがあるのかと思うとワクワクしてくる。
「バイクを受け取りにきました。」
「あなたね、昨日の電話の人は。はい、着いてますよ。」
着いてる!それを聞いて、やっと安心する事ができた。
「でも受け取るにはまず税関での手続きが必要です。」
「税関。それはどこにあるんですか?」
「バンクーバーのダウンタウンです。」
・・・・・また町に戻んなきゃなんないのか?しかしそれをやらないことには先に進めない。
通関の為に必要な書類をもらい、「じゃあ、また明日」と言って、バンクーバーに戻る。
翌日、朝いちでダウンタウンの税関へ向かう。
通関手続きは業者にやってもらうこともできるだろう。しかし、これから何十もの国境を越えてその度に通関の手続きをやらなくてはいけないので、手続きの流れを理解するためにも自分でやると決めていた。

オフィス街の中の大きなビルの一階にそれはあった。
朝早いからかまだ客は殆どいなかった。
初めての通関を無事に済ませられるかちょっと心配だ。
もし「書類の不備がありますね。これでは通関できません。」なんて言われたらどうしよう。
自分の番がまわってきた。カウンターにはやさしそうな30歳ぐらいの男性がいた。
「バイクを通関したいのですが。」といってすべての書類を見せた。
彼はこういうのは手馴れているのかテキパキと仕事をやり、時には「日本からバイクを持ってきたの?これから旅行するの。いいねえ。」などと世間話する余裕すらあった。
そして彼はカルネ手帳の記念すべき第一ページにポンとハンコを押した。
これで手続き完了だ。
これでバイクを受け取ることができる。これでバイクに会える。

またまたバスで船会社に行き、通関をした書類を見せると倉庫へ案内してくれた。
広い倉庫にはいろんなものが積まれていた。そんな大きな荷物ばかりの倉庫の片隅に、見覚えがある箱があった。
外側のダンボールに自分で書いた、モーターサイクルフロムジャパンの文字が躍っていた。


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